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短編にも満たないくらい短いのをつらつら書く場所であります。更新頻度は恐らくちょうまちまち。
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・Sound Horizon(ソロル+バロ子)
・楽園パレード中
・パレードの歌詞に則って少女→ソロル、乙女→バロ子
・やおい(やまなしおちなしいみなし)


「……あの、」

前方を跳ねるように歩く少女に、青い修道服を着た乙女はか細い声で話しかけた。黄昏に鳴り響く笛の音、それに合わせて揺れる少女の旋律、それらに軽くかき消されそうな声だったが、少女はくるりと振り向いてにこりと笑う。乙女の背中から差し込む夕陽が少女の幼い顔を真っ赤に照らし染め上げ、あまりにも美しいその笑顔に乙女の背筋が粟立った。どうしたの? とその小さく夕陽のせいで赤く染まった唇から零れる声は良く通るかわいらしい声で、浮かべるその美しい笑顔にひどく合わない。それでも話を切り出したのは自分だ、乙女はぐっと拳を握り唇を噛み締め、震える声で言葉を紡ぎ始めた。

「……このパレード、は、何処へ向かっていくのでしょうか」
「え、だって“楽園”パレードだよ? 楽園に決まってるじゃない」

はっきりとそう言い切った少女に、乙女は面食らって言葉を失った。少女はまたくるりと前を向いて手を組み合わせ、闇に飲み込まれてゆく空を夢見るような瞳でうっとりと見つめる。

「楽園に行けば……楽園へ還れば、お兄様が待っているの。また前のように愛し合えるの、ひとつになれるの」

その少女の横顔を見ながら、乙女は胸の前で合わせた手をきゅっと握った。
本当にこれが楽園へと向かうパレードなら、自分がここにいる筈はないのだ。何故なら人を殺めた、この手で大切な女性を殺めたのだから。罪の懺悔などもしていないし、むしろ罪が赦されないことを望んだ。陽気な笛の音がやたら身体に突き刺さる。
つい、と少女から視線を外して、闇に沈みゆく地平線を乙女は怯えるような瞳で見つめる。行き先が楽園でないのなら、もう答えはひとつしか残っていない。パレードの行き先、その名は、


嗚呼、そのパレードは何処までも続いてゆく。







ソロルって無邪気なイメージ(実際邪気だらけなんだけど/いやある意味無邪気か…)なんですがどうなんでしょうね……
いつか他のアビス娘も書きたいなぁと思いつつ
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